お盆真っ最中に

衝撃的なニュースがはいってきました。

岸田総理の総裁選の不出馬表明です。


菅元総理から2期連続での異例の現職の

総裁選不出馬表明。


この記事では3年にわたる岸田政権の振り返りをしながら

総裁選の展望

そして政治の展望も考えてみたいと思います。


「愚かな政府は愚かな国民が作る」

福沢諭吉の言葉です。

経済的に厳しくなっている現在の日本では、

どんな政策・政党・政治家でも問題ないとはなりません。

一緒に振り返っていきましょう。


岸田政権の振り返り

総裁選での宣言

岸田政権が誕生したとき私は実は期待をしていました。

なぜなら、岸田さんが総裁選のタイミングでこうおっしゃっていたからです。


私の経済政策、

一言で言うならば

小泉内閣以降の新自由主義的政策を転換するというものであります。

成長と分配の好循環を果たし

日本型の資本主義を構築することが必要です


新自由主義的政策がなぜダメなのかという話は

またいずれ別の記事にしたいと思いますが、

個人的には正確な現状認識をしており、

中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、

所得を引き上げるという

頼もしい宣言をしてくれたことが

嬉しくそして頼もしくありました。

実際の状況と施策

それでは、岸田政権の結果と

所得にまつわる代表的な施策を振り返っていきましょう。


実質賃金推移

厚生労働省の毎月労働統計調査によると、

実質賃金2024年5月まで過去最長の26ヶ月連続マイナスとなりました。


実質賃金とは、実際に受け取って名目賃金から

物価変動の影響を差し引いて算出した指数です。


名目賃金は上昇しているのですが、

近年の物価高の影響が大きく

実際に使えるお金は減っていっているというイメージです。


「政治は結果責任」

と言われることがあります。


(色々言いたいことはあるにせよ)

ガソリン代・電気代等の補助をしたものの、

所得倍増を掲げていながら

この結果は

評価できないというのが個人の所感です。


NISAの拡充

じつはそもそも所得倍増計画と

総裁選の時は謳っていたものの

所得倍増は厳しいと感じたのか岸田総理は

早いタイミングで資産所得倍増計画

と名前を変更しています。


この最たる目玉施策がNISAの拡充でしょう。


金融資産の運用収入は分離課税であり、

一般的には20.315%の税金がかかるところ、

非課税の枠を拡張し非課税の期間を撤廃するという施策です。


もともと積立NISAをしていた私にとっては

非常に嬉しい話でした。


ただ、マクロ的影響はどうなっているのでしょうか?

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1189521?display=1

実は近年進行した円安の一つの要因として

新NISAがあるのではないかという可能性も言われています。


円安は短期的に日米の金利差で決まりますが

長期的にはやはり貨幣の需要があるかどうかです。


基本的にどんな動画でも、NISAで購入を勧められているのは

アメリカの代表的な株価指数であるS&P500

かオルカンが多いでしょう。

このことは円が外貨に変えられてしまうことを意味します。

短期的な影響はそこまで大きくなくても

中長期的にみれば確実に円安の方向に向かいます。


個々としては賢い選択をしていても

全体として見ればマイナスとなる、

まさに合成の誤謬ですね。


インボイス制度の導入

次に個人的に岸田政権での1番の愚策はインボイス制度の導入です。

いや、導入を決定したのは2015年の安倍政権でしょ


それは確かにそうなのですが、

逆に安倍政権が2度消費税を延長したように、

総理大臣であれば、決定事項の延長は意思があればできるはずです。


しかし実際には導入されてしまいました。


インボイス制度、これは実質的な増税です。


元々税金を控除されていた売上が1,000万円以下の個人事業主に対しても

税金を課すというものですから。


いや、そもそも免税されていたことがずるくない?


税は応能負担の原則といって、

個人の負担能力に応じて税を課すのが原則です。


ずるいと言う人に対しては、

逆にみんな一律所得税の最高税率である

55%をかけられてもいいのでしょうか?


「平等」にこだわるとそういう発想にもなります。


消費税は預かり金でしょ?私は納めたのにただのねこババじゃん!


これも間違っています。

そもそも消費税は消費者である私たちが収めているものではありません。

したがって預かり金でもありません。

https://shueisha.online/articles/-/110070


詳しくは上記記事、もしくは元の動画を見て欲しいですが、

「消費税は預かり金ではない」と政府自身が

国会で述べています。


それを理解しておきながら、

対立を煽り

国民感情を利用したのであれば

国民を馬鹿にしているとしか考えられません。


しかも、何より経理の方であれば

わかると思いますが、

シンプルに事務負担が煩雑すぎます。


事業者番号を記載していなければ、

負担が自社に及ぶため、

すべての領収書に事業者番号があるかを

確認しなければなりません。


しかもそれでいて、インボイス導入による

増収効果は1兆円、

令和5年度の税収が72兆円であることを考えると、

わずか1.3%しかありません。


制度導入目的も崩壊していれば、

金額的インパクトも少なく、

事務負担をただ増加させる施策、

まさに愚策としか言うほかありません。


全国商工新聞


所得税減税

最後、もう一つだけ岸田政権の肝煎り施策を紹介しておきましょう。


記憶に新しいかもしれませんが、

2024年6月に実施された所得税の減税です。

これも細かい文句はありますが、

個人的には減税の実施ということで高評価です。


消費の活性化は減税が一番だと思いますし、

増税メガネのあだ名が嫌だったという話もありますが、

麻生さんにブチギレられながらも意思を突き通した

ということのようなので。


ただ、共産党の山添議員の国会討論で衝撃的な事実が明るみになりました。


消費税をそもそも引き下げるということは考えておりません。

考えておりませんので、

引き下げる効果についても考えておりません。

(岸田総理)

消費税についても下げたらどうなるか、

この効果の検討されなかったんですか(山添氏)

消費税を下げることは検討いたしませんでした。

(岸田総理)

小学生のとんちみたいですね。

要は絶対に消費税を下げるつもりはないという意志の元

消費税の減税を検討すらしなかったというのです。


普通逆です、

論理的思考の持ち主であれば、

様々な選択肢を検討した結果

一番効果がある施策を実行するはずです。


これは明らかに「政治」です。

誰かの消費税を下げれないという強い意思が働いています。


間違いなく、下げて一番効果がある税は消費税です。

仮に年間の消費額が200万だとしたら、

20万の減税になるのですから。


それでは、誰のどのような意思が働いた結果

このような論理矛盾が発生したのでしょうか?


岸田政権の裏側


岸田政権というのは、

そもそも党内基盤が盤石な政権でした。


解体されたことになっている派閥で考えると

岸田は2021年時点で46名。

自民党内で第5派閥でした。


そのため、総裁になるタイミングで

安倍派・麻生派から指示をえることで当選できたの

です。


なかでも麻生さんとの繋がりは強く、

距離感が近くなったり、

遠くなったりはしましたが、

麻生さんの影響力が強かったのは間違い無いでしょう。


麻生さんは財務省との繋がりが非常に強いです。

このことは『安倍晋三 回顧録』からも読み取れます。



財務官僚は、

私が増税見送りを表明する直前の11月、

私が外遊から帰国する際の政府専用機に、

麻生副総理兼財務省に同情してもらって

私を説得しようとしたわけです。

しかしその機内で7~9月の速報値が判明し、

「とてもじゃないが増税できない」

と私が麻生さんに説明し、

納得してもらったわけです。

この時、財務官僚は、

麻生さんによる説得という手段に加えて、

谷垣禎一幹事長を担いで

安倍政権批判を展開し、

私を引き摺り下ろそうと画策したのです。

前述しましたが、彼らは省益のためなら

政権を倒すことも辞さない。

『安倍晋三 回顧録』(2023年、中央公論新社)


そして、財務省にとっては消費税は実利があるのです。


財務省のキャリア官僚にとっては、

「消費税は実利がある」

ということである。

消費税が増税されることによって、

間接的にではあるが、

大きな利益を手にするのである。

なぜなら大企業と財務省は、

根の部分でつながっているからである。

(中略)

つまり財務省キャリアたちは将来、

必ず大企業の厄介になる。

そのため大企業に利するのは結局、

自分たちに利することにつながるのである。

『増補改訂版 消費税という巨大権益』大村 大次郎著、2023年、株式会社ビジネス社

消費税がどのように大企業に利するかは本書を読んでいただきたいが、

要は財務省・麻生さんに従うしかなかったのが

岸田政権という話なのです。


故に、もしかしたら心の奥底で、

消費税減税も考えていたかもしれませんが、

「検討すらしていない」

という発言につながったのでしょう。


後編では、今後の総裁選の展開と

自民党の得意技について見ていきたいと思います。

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シイ

兵庫→愛知→神奈川、東京勤務でコンサルタントをしているシイと申します!強い経営✖️強い国づくりとは何かを考えみなさんと議論できればと思っています、(もちろんたまにゆるいことも!)よろしくお願いします!

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