https://shii-consultation.com/revitalize-the-economy/

こちらの記事でデフレ下においては、

減税が有効であることについて言及しました。



所得税減税、

それも悪くはないのですが、

実は一番効果的だと言われているのは

消費税の減税です。


現在与党である自民党が、

絶対に言わない消費税の減税。

こちらを実現するためには

どうすればいいか

筋道を考えてみたいと思います。

消費税減税の背景とその重要性

消費税が家計に与える影響

消費税は、

私たちが買い物をするたびに

支払う税金です。


食料品から日用品まで、

消費税はほとんどの商品やサービスにかかっています。


例えば、5,000円の買い物をした場合、

10%の消費税が加算され、

合計5.500円となります。


年間200万円ものをするとすれば、

年間で約20万かかる。



意外と塵もつもればで大きいですし、

何より実は消費税は人々の賃金を下げます。



『消費税減税 日本復活論』(藤井 聡、森井 じゅん著、株式会社ポプラ社、2022)



こちらはサラリーマンの給与の推移です。

綺麗に消費増税をするたびに下がっていっているのです!

少し本書を引用してみましょう


では、なぜ消費税のせいで賃金が下がったのか。

(中略)

マクロ経済的にいえるのは、

賃金の元になるものが減ったからです。

賃金の元になるものとはなにか。

それは「売上」であり、

その「売上」のさらなる源は、

私たちの「消費」です。

消費税を増税すれば、過去のデータ通り

また賃金は下がるでしょう。

もっともらしい理由をつけて

消費税増税を掲げる政治家は

国民を貧困化させたいと言っているのと同義なのです。

なぜ消費税減税が必要なのか

『消費税減税 日本復活論』(藤井 聡、森井 じゅん著、株式会社ポプラ社、2022)


こちらは消費(実質値)の増税前からの推移です。

消費増税によって消費が下がることが明確ですね…

先ほどの繰り返しになりますが、

消費を増やす=売上を増やす=給与を増やすためには、

消費税の減税が非常に効果的だと思われるのです。


『消費税減税 日本復活論』(藤井 聡、森井 じゅん著、株式会社ポプラ社、2022)


もう一つ衝撃的なシミュレーションを掲載しておきます。

仮に過去と同様の成長率が続くとした場合のアメリカ・中国・日本の

名目GDPの見込みです。


2011年の私が小学生のころ、

中国にGDPが抜かれたというニュースがあったことを覚えています。

42年間にわたり保ってきた世界2位の座を中国に譲ると。


そこからわずか15年でここまで差が広がったのです。

「失われた30年」これ以上続けてもいいのでしょうか?


日本国内で生きていくから大丈夫よ!


本当にそうでしょうか?


そのころにはもう超貧乏国家になっていますから、

大学の初年度年収が向こうは1,000万とか

1,500万くらいになっている一方、

日本じゃもう180万とか150万くらいになっている。

(中略)

そうなると外交的に何をされるかわかりませんし、

外国のものを全然変えなくなる。

iPhoneや食料品、石油など

私たちの周りには外国産のものが溢れています。


国力の差が開くとはそうしたものを購入するための

費用が上がるということです。

そうならないために、消費税の廃止

これは真っ先に求めるべきものなのです。

消費税減税を言わない政治家

なぜ政治家は減税を語らないのか?


しかし、しかしですよ!

これほどまでに明確なデータがあるにも関わらず

かつ消費税の減税が多くの人にとって望ましいにもかかわらず、

政治家(自民党と立憲民主党)によってはこの話題について避けていることに

気づいたことはないでしょうか?


まずは岸田総理

この記事でも簡単に触れましたが、

「消費税を下げることは検討いたしませんでした」

と明確に発言されていました。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200413/k10012383901000.html

また、麻生さんも2020年の記事とはなりますが、

「今の段階で消費税を引き下げることは考えていない」

と述べています。


野党側についても確認してみましょう
https://www.asahi.com/articles/ASQCD777ZQCDUTFK00N.html


立憲民主党の枝野幸男氏は、

2021年の衆議院選挙で、消費税の引き下げを掲げて

戦いましたが、

「政治的に間違いだったと反省している」

と述べています。


自民党の野党第一党の立憲民主党も

まるで消費税減税をする気がありません。

背後にある財務省の影響


陰謀論でもなんでもなく、この裏には財務省の影響があります。


社会保障と税の一体改革は、財務省が描いたものです。

当時は、永田町が財務省一色でしたね。

財務省の力は大したものですよ。

時の政権に、核となる政策がないと、

税務省が近づいてきて、

政権もどっぷり頼ってしまう。

菅直人首相は、

消費増税をして景気を良くする、

といった訳のわからない論理を展開しました。

民主党政権は、あえて痛みを伴う政策を主張することが、

格好いいと酔いしれていた。

財務官僚の注射がそれだけ効いていたということです。

『安倍晋三 回顧録』(2023年、中央公論新社)


増税を延期するためにどうすればいいか、悩んだのです。

デフレをまだ脱却できていないのに、

消費税を上げたら一気に景気が冷え込んでしまう。

だから増税を回避したかった。

しかし、予算編成を担う財務省の力は協力です。

彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しにきますから。

財務省は外局に、国会議員の脱税などを強制調査することができる

国税庁という組織を持っている。

『安倍晋三 回顧録』(2023年、中央公論新社)


福田さんは財務官僚の中では珍しく、

自由闊達に意見交換をしようというタイプでした。

私が増税回避の話をすると、

「総理、それは困りますよ。勘弁してください。」

と物怖じせずに言ってきました。

『安倍晋三 回顧録』(2023年、中央公論新社)

「生々しい」で有名な『安倍晋三 回顧録』から

財務省にまつわる話を少しピックアップしました。

まとめると、

官僚世界での強力な権限をもちながら、

政治家をも自分たちの

増税路線の意向に誘導する集団ということになりそうです。


いったい財務省は何が目的なのでしょうか?


この問題については長い間考えていたのですが、

森永さんが指摘したように「カルト」なのではないか

と個人的には結論づけています。


ちなみに私には財務省に2人ほど知り合いがいます。


高校の友達と後輩でどちらも

東京大学法学部→財務省入庁

という典型的なコースです。


友人とはたまに話しますが、

「日本をよくしたい」その想いは確かに持っているのです。


なぜそう思いながら、逆に経済を悪化させるようにするのでしょうか?


このヒントが2022年10月に、月刊誌『文藝春秋』に

財務省の事務次官である矢野浩治氏が寄稿した

通称「矢野論文」という論文にあるように思えます。


どれほど論理破綻しているかは

この本がまるまる一冊かけて教えてくれるので

ぜひ読んでいただきたいのですが、


実はこの「矢野論文」の最後の一文が興味深いのです。


「今後も謙虚にひたむきに、知性と理性を研ぎ澄ませて、

財政再建に取り組んでいきたいと思っています。」


やっぱり「日本を良くする」ために「財政再建」

なんですね…


だとしたら、もう間違っていた認識を集団で共有しており

かつ修正ができない頭の硬い

エリートカルト集団なのだと思ってしまいます。


もしくは、わかっていても自分たちの権力の

源泉であるため手放さないという側面もありそうです。


「お金を持っているからこそ、

周りの奴が言うことを聞く」

だから安定的な税収の確保は、

財務官僚にとっては至上命題なのである。

財源が強力に消費税を推進してきた理由もここにある。

(中略)

財務官僚は日本の将来のこと、

経済のこと、

格差社会の問題など一切考えず、

ただただ安定財源を得る。

というそれだけのために、消費税を推奨してきたのだ。

目先の自分たちの利益しか考えていない。

日本の官僚とはそういうものである。

筆者も元官僚だから、

その体質はよく知っている。

『増補改訂版 消費税という巨大権益』(大村大次郎著、株式会社ビジネス社、2023年)

財務省は予算の編成権を持っています。

故に他の省庁は一定の配慮がどうしても必要なのです。

家庭で言えば、お小遣いの額を決めるお母さんの

機嫌をとらないといけない構造と一緒です(笑)


お小遣いの額が制限されてないと、

お母さんの機嫌を伺う必要はないですよね。

そうなると権力が落ちるので財務省は嫌なのです。


消費税減税を実現するための基本的な筋道


消費税減税の有効性と背後にある財務省の影響について

述べてきました。

では、どうすればその影響を取り除いて

消費税の減税を実現することができるのでしょうか?


国民の勉強がカギ


「政治家は短期的な目線で自分が当選するかどうかが大事だ」

そう言った批判をよく耳にします。


この性質を道徳的に変えるのは難しいでしょう。

人はやはり自分がかわいいものなのです。


それゆえに、消費税減税を実現するためには、

「消費税減税を訴えないと選挙で勝てない」

そういう状況を作りだすことだと思います。

そのための第一歩は、

私たち国民が経済政策について正しい知識をもつことです。


「国の借金が…」

「減税すると税制が悪化する」

そういった誤解はまだ根強く残っているのでしょう。


しかし、時代とともに常識は変化していくものなのです。

その常識をアップデートした人が少しづつ

周囲に広めていくことが重要です。


選挙での影響力


次に、選挙での私たちの行動が鍵となります。


私たちが投票によって選ぶ政治家が、

どのような経済政策を支持しているかを知ることは

非常に重要です。


「なんとなくかっこいいから」

小泉進次郎氏を支持するなどでは、

失われた30年は倍になる可能性もあるのです。


もし、消費税減税を実現したいなら、

減税を支持する候補者に投票することが必要です。


日本維新の会、国民民主党、日本共産党、

れいわ新選組、社会民主党

は程度の差こそあれ減税を実際に掲げています。


与党である自民党の中にも一定程度

消費税減税など積極財政を進める

議員はいるのです。


(自民党の)税制調査会などでは

「積極財政」を言う国会議員はバカだというような

風潮がすごくあるのです。

とにかくプライマリーバランスをゼロにするのが

正しいという財務省の洗脳講義を聞いている

国会議員のほうが多いのです。

ここで先生の話を聞いている人たちは

責任ある積極財政についてわかっていますが、

そうじゃない人たちをどうしたらいいんでしょうか。

『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』(高市早苗著、株式会社産経新聞出版、2024)

自分の信念をもちながら苦しんでいる議員もいるのです。

こうした人を支えるのも私たちの大事な使命です。


自民党と立憲民主党は代表選がもう少しでやってきます。

その結果に意外と大きなウエイトを占める「党員票」

私はどちらの党も支持していないので投票権はありませんが、

党員の方に関しては、

ぜひ、候補がどういった経済政策を打ち出しているかを調べていただき、

意思表明となるような投票を行っていただきたいと切に思います。

ウルトラC


結局選挙は絡んできてしまうが、

政治家を目覚めさせるという方法よりも、

財務省の影響力を削ぐという方法も可能性としては考えられます。


財務省の解体とは、

すなわち、

新たに税金や年金など社会保険料の徴収を一括して行う

「歳入庁」の新設にほかならない。

国税庁と日本年金機構の徴収部門を統合した組織が必要なのだ。

これまで、

歳入庁はマスコミや政治家にとってもタブーだった。

筆者も含めてごくわずかしか声を上げていなかった。

それはなぜか。

圧倒的な調査能力を持つ国税庁は一大権力機構で、

政治家も国税庁に資金のやり取りを全て把握されていることを知っている。

だから、その上部組織である財務省にはどうしても頭が上がらないのだ。

(中略)

予算案の作成などを担う財務省が企画部門なら、

徴税する国税庁は執行部門といえる。

世界を見渡しても、

日本の財務省のように企画部門と執行部門が

一体のケースはきわめて珍しい。

言い換えれば非常識なのだ。

予算案の作成には、政治家を含めてさまざまな勢力との折衝や

調整が必要だ。

良くも悪くも政治色が出る。

その一方で、徴税は

専門知識に基づいた公平公正な執行が求められる。

だから執行部門はあできるだけ

政治と切り離しておいたほうがいい

『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』(高橋洋一著、株式会社 扶養社、2022)

徴税はやはり権力が大きいんですよね…

グレーな部分を黒とするのも白とするのも執行部隊なので。

そういった意味では執行権を分離するという発想はとても大切だと思います。

れいわ新選組の幹事長である高井氏も同じような主張をしています。

案自体はすでにあるので、

どれほどサポートできるかが肝要なのだと思います。


まとめ

消費税の減税、それが経済の循環にとって非常に大切なことである

という話は冒頭でしました。


一方でなぜ実現できないかというと、

これは実は国民の関心の低さということなのかもしれません。


政治と経済は密接に結びついています。

失われた30年をこれ以上伸ばさないよう

引き続きどうすれば経済が回復するかを考え、

政治を監視していきましょう!












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シイ

兵庫→愛知→神奈川、東京勤務でコンサルタントをしているシイと申します!強い経営✖️強い国づくりとは何かを考えみなさんと議論できればと思っています、(もちろんたまにゆるいことも!)よろしくお願いします!

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