業績を回復させるために必要なことはなんだろう?

そんな疑問をお持ちの

コンサルタントの方・経営企画の方

もしくは、経営とは何かを知りたい

就活生の方必見です!


イントロダクション

書籍の概要

『V字回復の経営』は、

企業が危機的な状況から劇的に回復するための戦略や手法を詳細に解説したビジネス書です。


コンサル会社の中には必読書に指定している会社も多いのではないでしょうか?


それくらい有名な古典かつベストセラーであり、

この本は、経営者やコンサルタントにとって非常に有益な情報を提供しています。


(私も実はこの本を読んでこのように企業を再生できれば素敵だなと感じ

再生コンサルという領域に進むことになりました

現実は厳しいのですが…笑)

著者について

この本の著者は、経営コンサルタントとして長年の経歴を持つ

三枝 匡氏です。


略歴としては、一橋大学経済学部を卒業後、

元三井化学に入社、

その後ボストン・コンサルティング・グループに転職。

その後、不振企業の再生支援を行う「事業再生専門家」

として独立し、1986年に株式会社三枝匡事務所を設立した。


本書は、三枝氏が手がけた具体的な企業の事例をエピソードに

落とし込んだものです。


『V字回復の経営』の主要ポイント


V字回復の概念とは?

V字回復とは、企業が短期的で業績を劇的に改善するプロセスを指します。

本書では、V字回復を実現するために以下の9つのステップが必要だと解説します。


1.期待のシナリオ

経営改革の場合には、この第一ステップで、

改革のストーリーやスケジュール、

あるいは改革後の

「出来上がりの姿」

が明確に示されていなければならない。

この段階における障害(失敗や停滞の原因)

は、期待のシナリオが曖昧なまま

放置されることで起きる。


2.成行のシナリオ

優秀な改革リーダーは常に

「このままいけば事業はどうなるか」の

絵を正確に描くことに全力を挙げる。

(中略)

不振の事業組織では、「成行のシナリオ」

どころか、その基礎となるべき

「現状の問題点」

さえ十分に議論されていないことが多い。

(中略)

つまり組織として

「現実直視」をきちんと行うことだけでも、

かなりの努力を必要とするのである。


3.切迫感

「成行のシナリオ」が「あるべき姿」からはずれて

不安を感じさせるものであれば、

われわれは「これはまずい」と深刻さを認識することになる。

つまり「切迫感」ないし「危機感」を抱く。

それが改革行動の出発点になる。

(中略)

つまり、会社の痛みを個人レベルまで

分解することがカギである。

それに成功すれば組織の危機感は自動的に高まり

維持される。

自分の痛みとして危機感を抱いた人々は、

自分のために解決を図るべく動き始めるからである。


4.原因分析


現状に危機感を抱いた人は必ず、

「自分はどんな手を打てばいいのか?」

と自問する。

その疑問は自然に人を

「なぜこんなことになったのか?」

という疑問に導いていく。

すなわり、行動を始める前に改めて

原因の分析が必要になるのである。

それまで「社内常識」

で語られてきた問題の原因が本当の原因とは限らない。

むしろその逆のことが多い。

つまり、関係者が考えてきた原因は表層的なもので、

背後に真の原因が隠れていることが多い。

しかしそれを見極めることは簡単ではない。

それが「分析力不足」の壁である。


5.シナリオ作り

問題を引き起こしている、

「原因ロジック」が見えたら、

それに基づいて

「改革シナリオ」を組み立てる。

非常に重要なことだが、

成功する戦略は常に話が単純にできている。

長い時間をかけなければ説明しきれない戦略

(つまり複雑な戦略)

は劣った戦略である可能性が高い。

劣っているというのは、そのまま実行しても

大した成果が得られないという意味である。

だから「改革シナリオ」はできるだけ

シンプルでなければならない。

(中略)

そこで大切なことは、

①シナリオが論理的権威性に裏づけられていること。

②分かりやすいストーリー性を持っていること

そして

③改革リーダーが「熱い語り」をもって

不退転の姿勢を示すことである。


6.決断

第5ステップのシナリオ作りと同時並行的に、

第6ステップとして

「一連の決断」が下されていく。

それによって

改革の切り口が明確になる。

リスクの大きさや時間軸が決まり、

全体のストーリーが固まっていく。

(中略)

まだ十分な情報が得られていないと感じる時、

人は決断に迷う。

その決断によって自分の立場が危うくなる恐れが

あるときにも決断力は鈍る。

時間軸感覚が甘いと

「まだ決めなくてもよいだろう」と

先延ばしの態度が出やすい。

リーダーのこうした決断条件の違いによって、

改革シナリオの内容やその「鋭さ」

が決まってくるのである。


7.現場への落としこみ

改革シナリオに対して総論賛成だった人々が、

この段階までくると各論で

反対にまわったり、

実行案の細部を曖昧にしたり、

サボりを決め込むことがしばしば起きる。

ここに改革の「具現化不足」の壁がある。

そのために改革推進者らは、

①厳密な落とし込み能力

②燃えるリーダーシップ

③政治的軋轢の処理能力

が求められる。


8.実行

改革の緊張の中に同じ個人を何年間もつけておくような

やり方は賢明ではない。

会社の中で改革対象の「突出部分」を決め、

その部分に関しては短期間で一気に改革を進める

やり方をとる。

(中略)

つまり、見かけは大きな改革でも、

実行面では短期勝負の

局地戦を精力的に繰り返していくのである。

(中略)

改革の継続力を保持するためには、

①もともとのシナリオの改革の意味を社員に繰り返し思い出させる

②早期の成功が皆に見えやすいように実行計画を組む

③熱くて継続力のあるリーダーを上に立てる

④いつまでもネガティブな行動を取り続ける社員がいたら断固として排除する

などが重要である。


9.成果の認知

改革に成功したら、リスクに挑んだ改革チームの努力は

正当に認められなければならない。

(中略)

この第9ステップは、「次への元気」

を生み出すためのものだ。

そこに「達成感不足」の壁が待っている。

改革のシナリオの解説部分を引用しましたが、

実際は物語の展開+補足としての解説で

とても読みやすいので安心してください(笑)


コンサルタントの視点から見る「V字回復の経営」


実務との関連性

私自身がコンサルティング会社に勤務していますので、

実務との関連性についても少し述べたいと思います。


一般的にコンサルタントの仕事は、

現状分析→計画策定という手法をとることが多いです。


上で紹介したステップで言うと6までを

クライアントと議論しながら達成するという

イメージです。


同じプロセスを踏んでいても、

実際にV字回復を実現する企業と

そうでない企業が存在します。


その差はなんなのでしょうか?


もちろん、業態や市況という観点もあります。


ですが、最も違うのは

経営者の実行力だと最近感じています。


7〜9の部分を実現できなければ

計画はただの「絵に書いた餅」で終わります。


そうしないために経営者の計画に対する納得度が必要なのです。


それゆえに私は

コンサルの現場で大切なのは、

頭の良さではなく

対人感受性であり、

いかに経営者に信頼してもらえるか、

いかにこの人の言うことだったら実践してみよう

そう思ってもらえるかだと思っています。


そして今後のテーマとしては、

「実行支援」なのかなと思っています。

経営層だけをターゲットに

こういう現状ですと伝えるのではなく、

現場のミドル層と

課題について膝詰めて議論する

ことをしてみたいと。


精進が必要ですね。


読者の反応と評価

Amazonのレビューに書いてある読者の反応や評価を一部紹介します。


ぼんぼんさん 星5

経営の不振要因は当たり前のことが当たり前にできてないないことにあると

思っていた。本書はその真因と(私にはイメージできていなかった)

具体的な対策のプロセスまで書かれていて大変勉強になった。

ミドル層のサラリーマンの方には一読の価値があると感じた。

星5

所謂綺麗フレームワークだけを残すコンサルタントとは一線を画す実績


まとめ

日本は人口減少社会に突入していきます。

既存の国内向けビジネスをそのままやっていたら

市場の縮小に伴いそのまま業績は悪化していきます。


その局面だからこそ、

会社をどう変革していけばいいのか

その一つのロールモデルを示しているのが

本書だと思います。


ぜひ、自社の将来を憂う方、

そしてコンサルティング業界を知りたい方も

一読してみてください!

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シイ

兵庫→愛知→神奈川、東京勤務でコンサルタントをしているシイと申します!強い経営✖️強い国づくりとは何かを考えみなさんと議論できればと思っています、(もちろんたまにゆるいことも!)よろしくお願いします!

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