え、世界のエリートって美意識を鍛えてるの?
本のタイトルを読んだ時率直にそう思ったことを覚えています笑
ただ、読んでみると面白くてたまらない
「クライアントに対して管理体制の強化の価値しか出せていない」
最近私はそう悩んでいました、
でも当たり前ですが、
経営にもコンサルタントとしての付加価値にも
もっと先があるのです!
日々の仕事のクオリティをさらに上げる解
の一つはアートにあるのかもしれません
「美意識を鍛えることがなぜ必要なのか」
一緒に見ていきましょう!
本の印象
日々あえてきづかないようにしている側面もある事実に
真っ向から切り込んでくる本だと感じました
ファクトベースコンサルティングの提供価値は、
本質的に
「経営にサイエンスを持ち込む」ことであることは、
すでに指摘しました。
そしてまた、
あらためて繰り返すまでもなくサイエンス
というのは言語化が可能であり、
再現性があることが求められます。
(中略)
ファクトコンサルティングのノウハウを学んだ人材が
流出することで、
この方法論はやがて他社の知るところとなり、
それは必然的に差別的競争力の源泉を毀損することになります
普段私は中堅中小向けのコンサルティングを仕事としてやっています
正直、大企業ほどしっかりと業績管理をできている会社は多くありません。
それこそ製品別の採算を把握できていないというケースも多々あります
ゆえにサイエンスを持ち込むことがひとつの付加価値になっています。
しかし、これには限界があるのです。
当社でなければならない理由にはならないのです。
だからこそ、チームとして「企業変革」
といったテーマを掲げていますが、
これはこれで再現性がなかなか高いとは言えない。
自分の提供価値はサイエンスでいいのか
そう突きつけらた気がしました
読者の想定
この本の読者の想定は、
経営に携わる人、
なかでも自分の提供価値に
少し疑問を感じている
コンサルタントの人に刺さると思います。
本の中身① なぜアートなのか?
「デザインと経営には本質的に共通点がある」
筆者の一つの主張です
いったいどういうことなのでしょうか?
今日、デザイナーやクリエイターが、
経営者の相談相手として、
デザインやクリエイティブ領域に
とどまらず、
ひろく経営全般に関するアドバイザーとして
起用されるケースが増えています。
(中略)
私は、「デザイン」と「経営」には、
本質的な共通点があると思っています。
この本質的な共通点があるために、
デザインやクリエイティブの世界で
一流の仕事をしている人が、
経営者に対して付加価値の高いアドバイスができるのです。
では両者に共通する「本質」とは何か?
一言で言えば、「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」
ということです。
そのエッセンスを視覚的に表現すればデザインとなり、
そのエッセンスを文章で表現すればコピーとなり、
そのエッセンスを経営の文脈で表現すればビジョンや戦略
ということになります。
(中略)
この「本質の共通性」をちゃんと把握するためには、
経営という営みの本質が、「選択と捨像」
であることを、しっかりと理解する必要があります。
これ私実務の経験に照らし合わせて非常に納得した一説です。
よく言われることですが、決断とは断つこと
つまりやらないことを決めることだと言われます
素敵な経営者だなと思う方は
とにかく決断がはやいです
不採算の商品、工場など撤退をデータに基づき
即座に決定します
一方人は本来的には捨てることは苦手なのでしょう。
部屋に気づいたら物がたくさんある
そういう方もすくなくないはずです
大事な箇所に集中して
思い切って捨てること
その判断を促せるようにしていきたいですね
本の中身② どう「美意識」を鍛えるか
アートの重要性は理解したけど、どうやって美意識を鍛えるの?
安心してください!
この本はちゃんと美意識の鍛え方にも触れてくれています
昨今、多くのグローバル企業やアートスクールにおいて、
「見る力」を鍛えるために、
さかんに実施されているのが
VTS(=Visual Thinking Strategy)です。
(中略)
VTSのセッションでは、
通常の美術教育において行われるような、
作者や作品を
「見て、感じて、言葉にする」
ことが求められます。
(中略)
具体的には、次のような質問をして、
参加者に発言を促していきます。
1.何が描かれていますか?
2.絵の中でなにが起きていて、これから何が起こるのでしょうか?
3.どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか?
(中略)
ステレオタイプな「モノの見方」から離れて、
意識的に虚心坦懐に「見る」
というスキルを持つために、
VTSは有効な手段なんですね。
コンサルティング業界でよく言われることに
「仮説を持て」という言葉があります。
現時点での自分の意見をもつということですね。
ただし、それは自分の今の枠組みからしか見ることができません
VTSはその枠組み自体を拡張する行為なのかもしれませんね!
引用:ビジョンと美意識
もう一つ印象に残った箇所を引用させてもらいます
どんなに戦略的に合理的なものであっても、
それを耳にした人をワクワクさせ、
自分もぜひ参加したいと思わせるような
「真・善・美」がなければ、
それはビジョンとはいえません。
よく「海外売上高比率をXX%に」
とか、
「アジアで売上トップに」
といった内容の文言を
「ビジョン」として掲げている会社がありますが、
こんなものはビジョンではなく、
単なる「目標」であり、
さらに言えば「命令」でしかない。
そこには人を共感させるような
「真・善・美」が全く含まれていません。
その言葉を発した人が、
会社組織をどのように導きたいのか、
ひいては社会や世界にどういうインパクトを出したいのか、
全く伝わってこないのです。
これ、本当に自分が気をつけないといけないと思いました。
中期経営計画の策定支援はよく役務提供をしますが、
トップとしてやはり数字を上げることは至上命題であり、
ともすれば従業員がついてこない「えもち計画」を立てがちです。
ビジョンとして、「真・善・美」が含まれているか
それが数値と連動するか
このあたりはサポートするうえで肝に銘じる必要があると
改めて思いました。
著者紹介
著者の山口周さんは、1970年東京生まれ、
慶應義塾大学大学院文学研究科美術史専攻修士課程を修了しています。
電通、コンサルティング会社をへて現在は独立し、
人文科学と経営科学の交差点をテーマに活動を行っている方です。
以前、本ブログでもこちらの書評で一度紹介しています
https://shii-consultation.com/sence_work_well/
個人所感
アートというのは目の前の仕事に役立つものではないのかもしれません。
しかし、仕事の質を一段あげるためには必要だと感じました。
視座をどうあげるかという話ですね。
この記事もよく考えたら長すぎですね笑
もっと捨てることを意識するとともに
たまには美術館にでも行って
セルフVTSをしてみようと思います!
おすすめの美術館などぜひシェアできれば幸いです
それでは、また!